てぃ先生に聞いてみた!理想の保育ってどんなもの?

こんにちは、ICTキッズ編集部の吹野です。先日お届けした「なごころ保育園」の記事、もうご覧いただきましたでしょうか?この講演会の後、実は私、てぃ先生にお会いしてこれからの保育についてたくさんの話をうかがってきたんです!今回はそのインタビューの模様をお届けしたいと思います。

Twitterは保育のすばらしさを伝えるコンテンツ

――てぃ先生のTwitterは、子どもの自由な発想が紹介されていたり、ちょっとしたおとぼけさんの発言に鋭い突っ込みを入れていたり、いつも楽しく拝見しています!そもそも、どうしてTwitterを始めようと思ったんですか?

ニュースやテレビ、ネット記事でもそうですが、「子ども」や「育児」「保育」といったキーワードが出てくると、ネガティブなことばっかり報道されていますよね。待機児童の問題から始まって、子どもがかわいく思えないという親の話だったり、保育士は大変だ…なんて話題ばっかり。「子供ってこんなに可愛いよ」「保育士って楽しいよ」っていうテレビ番組なんて全然見かけないじゃないですか。

実際に保育士として働いていると、こんなに保育って楽しいのに、こんなに子どもってかわいいのに、少なくとも僕の周りで頑張ってるお父さんやお母さんは楽しんで子育てしてるのに、なんでこんなにネガティブなことばっかり言われているんだろう?という疑問がありました。「子ども」「育児」「保育」のキーワードに対して、ポジティブなことを発信するようなコンテンツがあったらおもしろいのかなと思たのがTwitterを始めたきっかけですね。

――素朴な疑問なんですけど、どうして保育士さんになろうと思われたんですか?

うちは父がサラリーマンで、窮屈そうなスーツを着てネクタイを締めて出かけていく父親の姿が、子どもの僕からはあまり楽しそうに見えなかったんですよね。だから自分はユニフォームを羽織るような専門職になりたいと思いました。

プロ野球選手とか獣医さんとか、あとパイロットとか、いろんな仕事に憧れたんですけど、自分が好きなことで専門職になれるのは何だろう?と考えたときに、昔から子どもが好きだということに気付いて。で、中でも保育士が一番子どもと関わる時間が長いと思って保育士になりました。

考える力を育てるために保育士ができること

――なるほど~。先ほど、講演の中で「考える力を身につけることが大事」とおっしゃっていたんですけれども、そのために心がけていることだったり、今の保育園で実践しているアクティビティってありますか?

今の大人って何でも答えを教えてしまうんですけど、僕はどんなことでも子どもに考えてもらうようにしています。例えばお散歩に行って信号を見つけたときに、普通は「青信号なら渡りましょう、赤信号なら危ないから止まりましょう」って教えると思いますけど、僕は「何色になったらみんな止まってる?」って聞くわけですよ。

そうすると、子どもは周りの人がどうしているかを見ますよね。ちゃんと周りの人を観察して、「赤になったら止まってる」「青になったら進んでる」ということに、まず気付くことができる。次に、「なんで青になったらいいんだろう?」「なんで赤だとダメなんだろう?」「なんで赤がgoで青がstopじゃなかったんだろう?」っていうのも僕は考えるべきだと思うんです。当たり前を当たり前だと思うのではなくて、なんでそうなってるのかを考えていかないと、何事も結びつかないんじゃないかって思うんですよね。

――…深いですね。

アクティビティで言うと…僕は3歳からディスカッションさせるんですよ。

――ディ、ディスカッションですか!?

そんな大層なものじゃないですよ(笑)。例えばそうだな…浦島太郎の絵本を読んだら、普通は大人から一方的に感想を聞いて、「こうだった」「ああだった」…って言って終わりだと思うんですけど、僕は友達同士でしゃべらせるんですよ。友達にどうだったか言ってごらんって。

このときにルールが1つだけあって、「お友達が言うことを否定しない」こと。「そんなの違う」とか「そんなのヘン」っていうのは絶対にナシです。みんなが思ったことは、みんなが思ったことで正しいんだから、それを聞くだけでいいのって。

そうやっていくと「浦島太郎がおじいちゃんになったのが面白かった」っていう感想を持つ子もいれば、「カメに乗りたいと思った」とか「竜宮城で踊る人になりたいと思った」とか、1つの題材に対していろんな感想を聞くことができるので、「あ、なるほどな~。●●ちゃんはそんな風に思ったんだ」「あ、ボクもそうかもしれないな」とか、いろんなことを考えるきっかけになると思うんですよね。

――確かにそういう風にすると、子どもたち同士で刺激を与え合うことができますね。

いろんな人の意見を聞くことは、多様性を受け入れることにもつながると思うんですよね。だから「人の意見は否定するものではない、あくまで引き出しにするものだ」っていうのを、うちは早いうちからやってるんですよ。

「もしも」が子どもの考える力を育む

――すごいですね。私は以前、幼稚園で3歳児を担当してたんですけど…ちょっと考えられないですね。

別に一斉に集めて「みんな並んで、これをやりなさい」っていうわけではないですよ。あくまでも遊びの活動の中で、自然に発生するような働きかけをしているんです。他にも僕が考えた「ifのディスカッション」っていうのがあるんですけど、遊びの中で「もしも○○だったら」っていうお題を出すんですよね。

例えば「もしも空が飛べるようになったらどうする?」と投げかけてみる。年長さんくらいになると「空を飛んで保育園に行きたい。」とか「ママと買い物に行きたい」とか「沖縄に行ってみたい」とか、いろんな話が出てくるんですよね。

――面白そうですね!

そこで僕が「でもさー、みんなが空を飛べるようになったら、空に人がたくさんいて、ぶつかっちゃうかもしれないよ?もしも、そうなっちゃったらどうする?」と聞いてみる。そうすると、みんなが考え始めるわけですよ。

で、「空に信号を作る」とか「空におまわりさんを呼ぶ」とか「空のパトカーを作る」とか、中には「北朝鮮からミサイルを打って潰す!」なんて意見も出てくるようになるんですね。「北朝鮮」なんて言われるとギョッとしちゃうけど、でもそれだって正しいわけです。あり得るわけですよね、「もしも」なんだから。

「もしも」っていうのは危険なことだけじゃなくて、楽しいこともみんな「もしも」。いろんな「もしも」を考える。今はもう、大人でもなかなか判断できないことが多い時代です。自分でどうするかを考えられる力が、今求められていると思うんですよ。

――はぁ~、私もやりたかったです、それ。どこからそういうアイデアが湧くんですか?

これはもう自分で。絵本のディスカッションもそうですけど。僕は絵本を読んで楽しむっていうのは当然のことで、これからは絵本を考えられる子が必要だと思うんですよ。だから、例えば浦島太郎の話も「おしまい。楽しかったね~」じゃなくて、「この後どうなるんだろうね?」「このままおじいさんのままだったら大変だよね?」「この後お兄さんに戻るためにはどうしたらいいんだろう?」とかって投げかけます。

そうすると「玉手箱をもう一度開ければいい」とか、子どもたちが言い出すわけです。そこで僕が「玉手箱をもう一度開けるためには、もう一度竜宮城に行かないといけないよね。でも浦島太郎はおじいちゃんになっちゃったから、きっと長く潜れないよ?」「じゃあまたカメを見つけるところからやるか?」とか(笑)。そういうことが考えられると、クリエイティブな思考の子どもに育つと思いませんか?

この先の時代に求められる保育

――普段からそういう遊びをしていると、ものすごく考える力がつきそうですね。いろんな保育のアイデアが思いつけるところもすごいと思います。てぃ先生は、これからを生きられる保育士、保育園ってどういうものだと思いますか?

いかに多様性を認めるかっていうことと、クリエイティブであること。それから自分たちの価値をきちんと理解して、それを打ち出せる園ですね。今まで保育園って営業は必要なかったじゃないですか、公立なんかは特に。宣伝なんかしなくてもお客さんが勝手に入ってくるわけですよ。だから例えどんな保育をしていても、お客さんは絶対に離れない。保護者には離れたら働けなくなっちゃうっていう“脅し”みたいのがあるわけですから。

でもその時代がそろそろ崩壊しようとしています。今までは立派なパンフレットに子どもの主体性がどうの、食育がどうのって書いてあっても、実際は良くわからない…みたいなのが当たり前だった。でもこれから先は、それをきちんと高いレベルでやっていないと選ばれないわけですよね。

――すでに潰れる幼稚園なんかも出てますよね。

だから自分たちの価値をきちんと理解して、その上で保護者がどんなことを望んでるか、子どもたちにとってどういうものが必要なのかを考えないといけないと思います。

――子どもも保育士も“考える力”が大事ということですね。ところでICT化については、どのようにお考えですか?

僕はもう、どんどんやった方が良いと思います。せっかく効率化できるものがたくさんあって、しかも効率化すると親御さんや子どもに還元されるわけじゃないですか。見やすいものができるし、無駄なものが減ることによって本当の意味で保育がもっともっと良くなるっていうのも還元されることの1つですし。

いいことがたくさんあるのに、わかんないからやらない。…それってホントのところは、やれるのにやらないだけだと思うんです。その最たる例がICT化だと思うんですね。別に全部が全部、機械に頼るという話ではなくて、機械にできることはもっと頼ってもいいんじゃないかって。

だって毎朝ピンポンが鳴る度にいちいち応答して、門の解錠をしてっていうのを繰り返すためだけに保育士1人を割り当てるくらいなら、テンキーでもICカードでも指紋認証でもなんでもすればいいじゃないって思うんですよ。それによって保育士さんを1人配置しなくて済むし。…僕はもう、ICT化万々歳ですけど。

保育のメジャーリーグを作りたい!

――人手不足とか働き方改革とか、世の中がいろいろと動き出している以上、保育園も時代に乗り遅れてはいられないですよね。てぃ先生がこれからやりたい保育について、是非お聞かせいただきたいのですが。

これから先はホントに考える力だと思います。既に今年も自動翻訳してくれる機械なんかが出てるじゃないですか。だからこれから先、みんなが英語をしゃべれるようになることが、昔ほどの価値になるのかなって思います。それこそコンタクトレンズを入れたら画面が出てくるような時代がそのうち来るんだから、そういったものに対応できような思考力や応用力を育てることのほうがよっぽど大事だと思いますね。

それから子どものための保育をやってほしいなって思います。今の保育って大人のための大人がやりたい保育であって、子どもにとって必要なものではないことが多いんですよね。

――たしかに、親のための保育になってるように感じることはありますね。

まあ、親御さんのための保育園でもあるわけだから、それはそれでいいんですけどね。ただ、お父さんお母さんと子どものバランスがとれた保育園が一番良いのかなって思います。子どものため、子どもため…ってやってると、それはそれで大人の負担も大きいので。

――お互いに気持ち良くのびのびと生活できる場としての保育園であってほしいですね。てぃ先生は、今後実現したい夢なんてありますか?

僕は保育のメジャーリーグを作りたいんですよ。今ってどれだけ知識を積んでも狭い世界でしかないっていうか。もっと保育士たちが「あの舞台で働きたい!」と思うような、ワンランク上の業界を僕は創りたいですね。一生懸命頑張っている保育士たちが、この世界でくすぶって終わりじゃなくて、全ての保育士たちがそこで働きたいと思う園をいっぱい作りたいです。だから大谷翔平さんみたいな保育士が欲しいですよね。

――大谷翔平さんですか!?

そう。大谷翔平さんみたいに、子どもたちが憧れる保育士さんがいていいと思うし、そういう先生は年収1,000万円くらいもらってもいいと思うんです。そして、1,000万プレーヤーの保育士がたくさんいる保育園を作りたい!みんなが憧れるじゃないですか。

――きっと私も目指したくなります!

それがモチベーションにつながれば、技術や知識を取り入れて、より良い保育を本気で目指すでしょうし、より良い保育のためには新しいことに挑戦していくべきだって気づくと思うんです。そして保育士が良くなれば子どもも良くなるし、子どもが良くなれば社会全体がもっと良くなるって僕は信じてるんです。

――壮大な夢ですね!いやでも、てぃ先生の構想が実現できれば、保育業界がガラッと改革されそうな気がします。今日は素敵なお話をありがとうございました!

まとめ

てぃ先生の保育に対する考え方や展望をうかがい、これからの保育にとてもワクワクしました!2020年以降も生き残れる保育園・保育士になるためには、改めて1つ1つの業務に目を向けて、それが本当に必要なことなのかどうかを考えなければならないこと。そして本来大事にするべき「子どもや保護者と向き合うこと」に注力できる環境を整えていくことが大切なんだと感じました。

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