どうやって伸ばす? 保護者がこれからの教育に求める「自己肯定感」

現代はVUCA(ブーカ)の時代と言われています。テクノロジーの進化とともに世の中はめまぐるしく変化し、先行きは曖昧で不透明です。

例えば2016年にイギリスで行われたEU離脱の是非を問う国民投票は、大方の予想に反して離脱が決まりました。しかしイギリス議会がEU離脱案を可決せず、暗礁に乗り上げた状態です。

日本では終身雇用制度がほぼ崩壊しており、かつての「偏差値の高い有名大学に進学すれば人生安泰」などという考えは、もはや幻想にすぎません。私たちはこれからの時代を担う子どもたちに、どんな教育をすれば良いのでしょうか? 今回は、保護者が望む教育の在り方について考えてみたいと思います。

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キッズラインが行った調査

出典:キッズライン ホームページより引用

ベビーシッターの派遣サービスを展開するキッズラインでは、キッズラインの会員を対象にさまざまな調査を実施し、そのレポートを公開しています。2019年1月は「2019年ママの教育方針」と題して、保護者がどのような教育を望んでいるのかをまとめています。

調査の概要

調査期間:2018年12月25日~12月26日
調査対象:子育て中の女性142名、男性4名、未回答2名
就労状況 共働き世帯:73.0%、片親のみ就労世帯:20.9%、ひとり親世帯:6.1%
調査方法:インターネット調査

今回の調査では、子育て世代に対し「子どもが大きくなったらどんな大人になってほしいか」「子どもに今後どんな習い事をさせたいか」といったアンケートを実施し、フリー回答から保護者が望む教育の在り方を分析しています。調査対象148名中142名が女性であることから、ここでは母親の考えとして取り上げます。

子育てママが望む成長した子どもの姿

出典:キッズライン ホームページより引用

子どもになってほしい将来の姿として最も回答が多かったのは「自分に自信を持ち自己肯定感がある」人でした。和を尊ぶ日本において、従来は「周囲の人と協力し仲良くやっていける」協調性が重視されがちでしたが、今どきのママの意識は変わりつつあるようです。

調査で判明した保護者が望む教育の形

・右向け右 のような教育を受けた記憶があり、辛かった。学校教育の中で個々の個性を大切にすることはなかなか出来る事ではないと思うけれど、人と違うことに恐怖を感じるような教育を受けさせたくはない。せめて親は、自己肯定感を養えるような存在でありたいと思う。(30代・専業主婦)

・自分自身は、「こうあるべき」という風に教育を受け、そのまま受け取っていた様な気がします。考え抜くという経験が少なかったので、子どもには、自分がどういう人間で、どうしたら世の中の役に立てるかを、常に考え続けられるようになって欲しいですし、そのように伝えていきたいと思っています。(30代・パート・アルバイト)

・覚えるだけの詰め込み教育ではなく、どうして?なぜ?というのを掘り下げて学ぶ教育を受けさせたい(40代・フルタイム)

現在子育てをしている世代は昭和後期に子ども時代を過ごし、就職氷河期やリーマンショックなどによる影響を受けてきています。そのせいかフリー回答では、自分が受けてきた教育に対して疑問を呈する声が多く見られます。子どものころの画一的な教育で息苦しい思いをしたり、親の望む進路を選んで後悔したりして、多くの迷いを感じながら現在に至っている母親が多いのではないでしょうか。

<参考>
キッズライン:「昭和の教育は自分たちで終わりにしたい」2019年ママの教育方針

生きづらさを感じる大人たち

日本の家庭教育は、できないことの指摘に熱心な反面、できることはあえて触れない傾向にあります。誰かに褒められても「いやいや私なんて……」と謙遜する文化も日本独特です。

内閣府が平成26(2014)年に作成した「子ども・若者白書」では、日本・韓国・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・スウェーデンの7か国の中で自分自身に満足している割合が最も低い結果となっています。これは自己肯定感の低さを表します。そのせいか、生きづらさを感じている大人も増えているようです。

<参考>
内閣府: 平成26年版 子ども・若者白書(全体版)「特集1 自己認識」

自己肯定感とは

自己肯定感とは、ありのままの自分を受け入れ、「自分はこれでいいんだ」という絶対的な自信や安心を得られる感覚のことを言います。自己肯定感に根拠は不要です。能力や才能の有無にかかわらず、自分はそのままで十分に価値のある存在だと思える人は幸福感を感じやすく、自分以外の人を自然と尊重できるようになると言われています。

自己肯定感は育った環境や関わった大人、経験したことなどによって育まれていきます。日本の伝統的な教育はみんなと同じであることを良しとしてきたため、自分の気持ちに正直でいることが難しく、自己肯定感が高まりにくいものと推測されます。

自己肯定感が低いアダルト・チルドレン

子どものころに感じた寂しさやつらさ、抑圧などが心に深い傷となって残り、大人になっても思いのままに生きられない人をアダルト・チルドレン(AC)と呼ぶことがあります。肉体的・精神的虐待を受けて育った人や他人と比較されて育った人、過保護に育てられた人など、自分の気持ちに素直になれない子ども時代を過ごした人に多いようです。

アダルト・チルドレンの特徴のひとつに、自己肯定感の低さが挙げられます。自分に対する評価が厳しいので、誰かに褒められても言葉通りに受け止められません。本当は望んでないにもかかわらず周囲の期待に沿う行動を選んだり、相手の評価が気になって自分に自信が持てなかったりして苦しむ人が少なくないのです。

自己肯定感を高めるために幼児期に必要なこと

子どもは身体が小さく、経験も浅いため、大人に比べるとできないことがたくさんあります。そのため子どもは未熟で未完成と捉えがちです。

しかし子どもは子どもなりに考えがあり、意思を持って行動しています。子どもと目線の高さを合わせ、きちんと向き合うことが重要です。

子どもの言動に問題を感じたときは一方的に叱るのではなく、どうしてそんなことを言ったのか、どうしてそんな行動をとったのかを聞いてみてください。その理由に共感できなかったとしても「○○と思ったんだね」と一言添えてあげるだけで子どもの心は守られます。

自己肯定感を高めるトレーニングは大人にも有効

出典:一般社団法人 日本セルフエスティーム普及協会ホームページより引用

文部科学省のホームページでは、学校の学習環境と教員の勤務環境に焦点を当てた国際調査「OECD国際教員指導環境調査(TALIS)」の日本版報告書を公開しています。この中で日本の教員は他国に比べて「生徒の主体的な学びを重要と考えている一方、主体的な学びを引き出すことに対しての自信が低い」とまとめられています。

自己肯定感の普及活動を行う日本セルフエスティーム普及協会は、「自己肯定感はスキル(技術)であり、トレーニングで高められる」としています。子どもたちの自己肯定感をはぐくむためには、まず保育者自身の自己肯定感を高める取り組みが必要かもしれません。

<参考>
文部科学省:OECD国際教員指導環境調査(TALIS)平成25年調査結果
一般社団法人 日本セルフエスティーム普及協会:自己肯定感とは

まとめ

保育の現場は女性が多いために人間関係が難しいと言われます。しかしその原因は、日本人の自己肯定感の低さにあるのかもしれません。

自己肯定感が高ければ自ずと他人を尊重でき、良好な関係が築かれやすくなります。時には職員全員で自己肯定感について考える機会を設け、園の運営の改善に役立ててみても良いかもしれません。

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