子どもの歯の健康を守るために保育士ができる4つのこと

こんにちは、ICTキッズ編集部です。先日NHKのニュースで子どもの虫歯についての報道がありました。幼いころから定期的に歯科医院に通って虫歯予防対策を受ける子どもが増えている反面、さまざまな事情で子どもが虫歯になっても歯科医に連れて行けず、重症化させてしまうケースも目立つそうです。

歯の健康格差が広がっている?

文科省・学校保健統計調査:平成28年度(確定値)の結果の概要より

乳歯は生後6カ月ごろから生え始め、3歳ごろまでに20本が生えそろいます。永久歯に比べるとエナメル質や象牙質が薄くて柔らかく、石灰化度も低いので虫歯になりやすいという特徴があり、放置すると予想以上のスピードで進行します。

近年は予防歯科の考え方も浸透してきていることから、幼いころから歯科医に通ってフッ素塗布やシーラント(奥歯の溝をプラスチックでふさぐ虫歯予防法)による虫歯予防を行っている家庭も多く、昭和50年台には軒並み9割を超えていた虫歯の子どもの割合は急速に減少し、平成28年度は50%を下回っています。

<参考>文科省・学校保健統計調査:平成28年度(確定値)の結果の概要

重篤な虫歯の子どもは増えている

一方で虫歯が10本以上あったり、歯根しかない未処置の虫歯が複数ある「口腔崩壊」の子どもの割合も増えており、歯の健康の二極化が問題視されています。歯の痛みでしっかり噛めないために満足に食事が取れず、栄養状態が悪くなったりあごの発達に影響が出たりすることもあるそうです。

このような重い虫歯になってしまう原因には、保護者が仕事を休めず子どもを歯医者に連れていくことができなかったり、経済的に困窮していたり、いわゆるネグレクト(育児放棄)の場合もあるそうです。小中学校への調査では「親に歯が痛い」と言い出せず我慢しているケースもあり、日頃から虫歯予防を自分で行えるように早い段階で歯みがきの習慣をつけさせることが重要であると感じます。

<参考>NHK福岡:子どもに広がる”歯の健康格差”

保育士にできること

(1)食後の歯みがきや仕上げ磨きの徹底

忙しい保護者に代わって保育士ができることとして、一番大きなことは食後に歯をみがく習慣を子どもに身につけさせることだと思います。家庭では歯みがきが嫌いな子どもでも、保育園でお友達や先生と一緒ならできる場合もあります。

歯みがきを始めるタイミングは保育園によっても異なると思いますが、生え始めの頃から歯みがきを習慣づけるのが理想です。口の中に歯ブラシを入れることを嫌がる子どももいるので、最初はガーゼでぬぐう程度で構いません。ガーゼ磨きで口の中の掃除に少しずつ慣れてもらい、奥歯が生えてきたら年齢に合わせた歯ブラシに移行させましょう。

1~2歳になると自分で歯みがきができるようになりますが、みがき残しのないように保育士が仕上げをしてあげるのが良いでしょう。子どもの口の中は敏感なので、歯みがきが嫌いにならないように、やさしく丁寧にケアしてください。保護者とも緊密に連携しながら保育園で歯みがきを習慣づけ、家庭でも実践しやすい環境を整えてあげましょう。

(2)子どもに歯みがきの重要性を伝える

3歳になると「どうして歯みがきをしなければいけないのか?」がわかるようになってきます。絵本などで歯みがきの重要性を伝えることで、歯みがきが嫌いだった子どもが率先して歯ブラシを手にするようになることもあります。

歯みがきをすることの大切さもさることながら、だらだらと食べたり、甘いジュースをちびちび飲み続けることも歯の健康には良くありません。また5~6歳になると歯が生え変わる時期に差しかかってきます。歯をテーマにした絵本を読み聞かせるなどして、歯みがきの重要性や理想的な生活習慣、これから子どもたちの歯に起こることについて共に学ぶことで、将来子どもたちが健康で過ごす土台づくりにつながります。

(3)定期的なフッ素うがい

一般にフッ素と言われているのはフッ素化合物のことで、フッ素単体のような毒性はありません。フッ素は再石灰化を促進したり虫歯菌の活動を抑制する働きがあり、虫歯予防に効果があるとされています。うがいが上手にできる年齢の子どもたちに、子ども用のフッ素洗口液を用いて定期的にうがいをさせることは効果があると思います。ただし、フッ素化合物の人体への影響を心配する保護者もいらっしゃいますので、実施に際しては十分な説明や配慮が必要です。

(4)保護者への啓蒙

共働き世帯が増え、なかなか子どもとの時間を作ることが難しい保護者も増えています。歯みがきがおろそかになってしまうご家庭があるのは、現代社会においてはやむを得ないことかもしれません。しかし乳歯は永久歯に比べると虫歯に弱く、初期虫歯から重篤な虫歯への進行も早いため、万が一虫歯が見つかった時には早期治療が必要です。

虫歯が重症化すると歯が溶けて根だけになってしまうことがあります。また痛みのために柔らかいものしか食べられなくなったり、あごの発達が遅れて歯並びが崩れてしまったりします。「乳歯はいずれ生え変わるから問題ない」とお考えの保護者もいるかもしれませんが、乳歯がひどい虫歯の場合、下から生えてくる永久歯も虫歯の状態で生えてくることがあるそうです。歯の健康は子どもの人生を左右する重要事項であり、虫歯の放置は「デンタルネグレクト」とも言われかねないことを保護者に理解していただくことが必要だと思います。

コミュニケーションとしての「仕上げみがき」の提案

子どもが自分でする歯みがきではどうしても「みがき残し」ができてしまうため、小学校高学年まで親の「仕上げみがき」を推奨する歯科医もいます。実は大人でも上手にみがけている人は少ないそうです。幼いころから親が「仕上げみがき」をして、子どもの歯みがきスキルの向上を手助けすることは、健康な歯を維持するために必要なことなのかもしれません。

1日1回、夜寝る前だけでも十分効果はあるそうなので、ご家庭での「仕上げみがき」を習慣化するよう保育園でも呼びかけをしてあげてください。その際に今日の出来事を話したり、歌を歌いながら楽しく「仕上げみがき」をする工夫も伝えれば、きっと親子の絆を深める時間にもなると思います。

自治体の医療費無料制度の活用

全国の各自治体ではそれぞれ子どもの医療費助成制度を設けています。条件は自治体によってさまざまですが、歯科診療にかかる費用も助成されることをご存じない保護者も少なくないようです。経済的な理由で子どもの歯の治療ができないご家庭の場合、そういった制度の存在を知らないケースも多いようなので、保育園が積極的に情報提供することが子どもの歯の健康を守ることにつながるかもしれません。

まとめ

子どもの「口腔崩壊」は10年ほど前からニュースなどでも取り上げられていますが、子どもの貧困問題などと同様に、なかなか改善が進んでいないのが現状のようです。特に歯の状態が悪い子どもについては経済的に困窮しているケースも多いため、単に親の責任を追及するのではなく、社会全体の問題として取り組んでいかなければならないと思います。

虫歯は他の病気と違って自然に治ることはありませんが、歯みがきを習慣づけるだけで一定の予防効果が得られることも事実です。すべての子どもが家庭の状況に関わらず健康な歯を維持するために、第一線で子どもとかかわる保育士の皆さんが果たす役割は非常に大きいと思います。その点でも保育士という職業の尊さが広く認知され、待遇が改善されることを期待します。

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