幼稚園の遊びは何をする? 奥が深い遊びの重要性とは?

日本で子どもの教育というと、多くの方が「読み」「書き」「そろばん」を思い浮かべると思います。早いうちからひらがなやカタカナを教える事例を見聞きして、学習の遅れを心配する保護者もいらっしゃるのではないでしょうか。

幼児期の子どもたちは日々の生活や遊びの中から、さまざまな学びを得ています。文字や数字を覚えるよりも、幼児期にしかできない経験や体験をすることの方が、将来、子どもの成長を後押しするのは皆さんご承知のとおりです。

遊びの意義について保護者に説明するためには、保育者自身がしっかり理解を深めておかなければいけません。そこで今回は改めて幼児期の学びについておさらいしたいと思います。

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幼児期の遊び

幼児期の遊びの役割

子どもは成長するにつれて、さまざまなことを自発的に吸収していきます。体の成長とともに考える力がついてくると、自分なりに工夫するようになり、トライ&エラーを繰り返しながら学びを得ます。そのため幼児期にのびのびと遊べる環境を用意することがとても重要です。

ベネッセの調査結果

通信教育大手の株式会社ベネッセホールディングスの社内シンクタンク「ベネッセ教育総合研究所」が発表した調査には、「子どもが園で自分なりに遊びに工夫を加えたり、見通しをもって遊ぶなどの“遊び込む経験”を多くしたと感じるほうが、子どもの好奇心やがんばる力などの『学びに向かう力』は高くなる傾向がみられました」という報告があります。

「“遊び込む経験”をするためには、園で自由に遊べる環境や先生の受容的な関わりが大切である」ことも指摘されています。このことから、幼児期の子どもには、過度な制限を与えないことが重要と考えられます。

<参考>
PRtimes:ベネッセホールディングス「幼稚園や保育園で“遊び込む経験”が多いほうが「学びに向かう力」が高い

幼稚園では何をする?

保育園は仕事や介護などで子どもの面倒を見られない保護者に代わって子どもを預かる施設です。一方、幼稚園は学校に準ずる教育機関として位置づけられているため、園によってはいわゆる“お勉強”に力を入れているところもあるかもしれません。

学校教育的なカリキュラムを幼児期に行うと、大人が理想とする扱いやすい子どもに育つかもしれません。しかし、頭を上から押さえつけるような教育は子どもの自信を損ない、自己肯定感を低くしてしまう恐れがあります。

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どうやって伸ばす? 保護者がこれからの教育に求める「自己肯定感」

これからの時代に求められる人物像

出典:文部科学省ホームページより引用

文部科学省は2017年~2018年にかけて学習指導要領を改訂しました。その周知を目的としたリーフレットには「生きる力~学びの、その先へ~」というコピーが添えられています。

テクノロジーの進化やグローバル化によって、世界はめまぐるしく変化を続けています。変化の荒波に翻弄されることなくこれからの時代を生き抜くためには、課題を発見し解決する力やコミュニケーション能力が求められます。あらかじめ用意された回答をテストで答える力だけでは、どうにもならなくなっているのです。

<参考>
現代ビジネス:「あそびってあほみたい」?遊びを奪う保育所・幼稚園の重罪 

幼稚園で実践すべき教育の形

北欧の国エストニアでは電子国家化が進んでおり、国民に付与されたIDと銀行口座が紐づけられ、キャッシュレス決済が浸透したことでお金の動きが自動的に記録できるようになりました。その結果、確定申告が不要になり、個人向けの税理士の仕事がなくなったそうです。

かつては暗算が早く正確にできたり、たくさんの虫を見分けられる子どもが賢いと思われていました。しかし今ではパソコンで計算したり、インターネットで検索すればすぐに答えがわかります。これからの時代を生き抜くためには、今までの教育では注目されていなかった分野に重点を置く必要がありそうです。

考える力を育てる

例えば折り紙で遊ぶ場合、子どもたちは誰かが折る様子を見て真似をしながら折り方を覚えていきます。途中で折り方が分からなくなったり、大人のようにきれいに仕上げられなかったりすると、質問をしたり、どうしたらいいか考え始めますよね。

中にはでき上った折り紙を分解して、折り方を自分で見つけ出そうとする子どもが出てくるかもしれません。園では子どもたちが自由にチャレンジできる環境を整えるとともに、みんなで考えを深める活動を用意するなどの対応が求められています。

運動能力を高める

園庭を走ったりジャングルジムに登ったりする動作は、身体の機能を育てます。その過程でバランス感覚や持久力も身につきます。遊びを通じて自分の身体を思いのままに動かせるようになったり、できないことをできるようにするための方法を自然に考えるようになります。さまざまな活動に耐えられる体力を備えるためにも、外遊びは積極的にさせたいものです。

社会性を身につける

成長するにつれて子どもの関心の幅は広がります。一人遊びをしていた子どもが誰かと一緒に遊ぶことを覚え、徐々におもちゃの貸し借りをしたり遊び方を相談したりするようになります。このような成長の過程で他人との関わり方やコミュニケーションの仕方を身につけていきます。

近年、先進的な取り組みをしている幼稚園や保育園では、iPadを利用したデジタル教材を取り入れる事例が目立ちます。モバイル端末はあくまでも道具として使い、重点を置くのはディスカッションの時間です。子どもたちが自分の描いた絵や工作の画像をモニターに映し出し、作品に込める思いを語ったり、友達に質問したりする体験を通じて、コミュニケーション能力を高めていきます。

<参考>
teniteo:幼児期の遊びの重要性を知ろう。1~6歳の遊びを成長別で紹介

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保育者は子どものサポーターであり審査員ではない

日本では長年にわたり、子どもたちに対して大人が理想とする子ども像を押し付けるような教育が続けられてきました。その結果、真面目な優等生タイプほど自分の気持ちに正直になれなかったり、自分で自分の可能性を制限してしまい、大人になって生きづらさを感じている人が少なくありません。

幼いころから誰かと比較されて育つと、自分より出来のいい人をひがんだり、陰湿ないじめをする人が出てきたりします。原因の多くは一番身近な存在である親の影響ですが、中には保育者の態度が子どもの心に傷を残す事例もあります。

これからは教師が一方的に評価するのをやめ、それぞれの長所や持ち味にフォーカスを当てて一人ひとりの違いを受け入れる文化を醸成していかなければなりません。大人が率先してお手本を見せることで、子どもたちもお互いの良いところを認め合えるようになると思います。

まとめ

バブル崩壊後の1990年代から2000年代は「失われた20年」と呼ばれます。この時期、アメリカでは情報通信技術(ICT)革命により労働生産性を大きく高めたのに対し、日本ではICTへの投資が驚くほど少なく、これが経済成長を停滞させた原因のひとつと指摘する専門家もいます。

教育の分野でも世の中の動きに対してアンテナを張り、常に敏感に反応していかないと立ち行かなくなってしまう可能性があります。狭い世界にとどまることなく積極的に情報を取りに行く努力が必要です。

<参考>
独立行政法人経済産業研究所:「失われた20年」の構造的原因

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