2019年10月から保育料の無償化が決定。保育施設がすべき対策とは?

2019年2月12日、政府は幼児教育および保育の料金を無償化する子ども・子育て支援法改正案を閣議決定しました。利用者は喜ぶ一方で、保育料が無償になると入所希望者が増え、待機児童問題が深刻になることも心配されています。こういった問題を解決するために、保育施設がすべき対策とは何なのか?制度の概要と共にまとめました。

保育の無償化とは

制度の目的

子育て世帯を応援し、社会保障を全世代型へ抜本的に変えるため、幼児教育の無償化を一気に加速する。
幼児教育の無償化は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性や、幼児教育の負担軽減を図る少子化対策の観点などから取り組むもの。

出典:内閣府 子ども・子育て会議 配付資料より引用

政府は、日本の最大の課題を少子高齢化と位置づけ、世代間格差や少子化対策の観点から、高齢者に偏りがちな社会保障を若い世代へ振り分ける目的で保育の無償化を行います。海外と比べると子どもや子育て世帯への支援が遅れている現状を鑑みると、一定の意義は感じられます。

無償化の対象

保育料無償化は、幼稚園・保育所・認定こども園等を利用する3~5歳の全ての子どもたち、および住民税が非課税となる低所得世帯の0~2歳児の子どもが対象で、およそ300万人が該当します。施設の利用料は全額無料になるものの、通園送迎費や食材料費、行事費などは対象外とされています。

認可外の保育施設を利用する場合は、3~5歳児で月額37,000円、0~2歳児で月額42,000円を上限に利用料を補助します。これにはベビーシッターの利用料も対象に含まれます。

<参考>
内閣府:子ども・子育て会議 配付資料

制度の問題点

幼稚園や保育園の利用料が無料になれば、子育て世帯が助かるんだから良いことなんじゃないの?

残念ながら、保育の無償化についてはいろんな課題があって、良いことばかりとは言えないんだよ。

財源の問題

保育の無償化に際しては約7,800億円の費用がかかると試算されています。財源は2019年10月から10%に引き上げられる消費税の増収分(5兆6,000億円程度の見込み)から捻出することが決まっています。

消費増税が決まった2012年時点では、増収分の約3分の2を占める4兆円を借金の返済にあてることになっていました。しかし安倍政権はこの方針を変更し、幼児教育や高等教育などの無償化の財源にすることを検討しています。借金に充当する額が減らされれば、その分返済が遅れることになり、若い世代に負担が先送りされてしまう点に懸念が残ります。

地方自治体への負担の増加

政府は当初、保育の無償化は全額国の負担で行うとしていましたが、途中で方針が変わりました。平成19年度は全額国費で賄いますが、平成20年度以降は国と都道府県、市町村でそれぞれ分担することとしています。

「保育園を考える親の会」が首都圏及び政令市の市区の保育担当部署に対して行った緊急アンケートでは、自治体に負担を求める国の方針に、97%の自治体が見直しを求める回答をしています。集計報告からは多くの自治体が財政や待機児童対策への悪影響を不安視している様子がうかがえます。

特に無償化費用の全額負担の恐れがある公立保育所については、民営化などの促進を懸念する回答が4割を占めました。地方自治体の費用負担が増えることで、無償化の対象から外れている0~2歳児の保育料の引き上げを余儀なくされたり、保育の質の低下などが心配されています。

<参考>
保育園を考える親の会:幼児教育無償化の費用負担に関する緊急アンケート<最終集計>

公平性の問題

幼稚園や認可保育施設の利用料は所得に応じて設定されています。子どもの多い家庭や低所得世帯への対策もすでに行われている中、一律の無料化は高所得者ほど恩恵を受けることになり、制度の逆行と見ることもできます。

待機児童問題の悪化の懸念

近年、新設の保育施設が増加傾向にありますが、規定人数の保育士を確保できず、予定を下回る園児しか受け入れられない園は少なくありません。また保育士の負担軽減と保育の質の向上のため、保育士一人当たりの子どもの人数を減らすことが決まっていましたが、消費増税の先送りを理由に保留となったままです。

保育料が無償化されると、現在待機児童に数えられていない子どもの入園希望が増え、待機児童問題が悪化する可能性もあります。国や自治体が発表している待機児童数は、諦めて申し込まなかった人を含んでいないため、潜在的には膨大な保育の需要があると見込まれています。

<参考>
NHK解説委員室:「何のための幼児教育無償化か」(時論公論)
東洋経済:保育無償化が「誰得か」よくわからない現実

大阪府守口市の例

国に先行する形で無償化に踏み切った大阪府守口市では、0~5歳児の人口が増加する一方で働きに出る主婦も増え、待機児童は増加傾向にあるようです。保育士の争奪戦も勃発している状態で、保育士不足をどう解消するのかが課題になりそうです。

<参考>
日本経済新聞:保育無償化、入園待ち長くなる?(2019/1/2)

岡山県岡山市の例

岡山市では2019年4月の認可保育施設への入園希望者数が前年比860人増の18,428人に達しました。3~5歳児の申し込みが増えており、10月から開始予定の保育無償化が影響していると考えられています。

<参考>
日本経済新聞:岡山市の認可保育施設 応募、定員1800人超過 4月

保育施設がすべき対策

無償化が始まって保育園への入園希望が増えたら、待機児童問題が悪化しちゃうかもしれないね。

保育施設ではどんな対策をしたらいいのか考えてみよう。早めに準備しておけば、問題が大きくならずに済むかもしれないよ。

保育士の確保

保育料の無償化によって、減少傾向にあった待機児童数が増加に転じる可能性は大いにあります。さらに今後は保育士一人が担当できる園児数が減らされるかもしれません。

保育施設では、保育の質の向上や園児受け入れの態勢づくりのため、保育士の増員や離職率低下といった対策が必要です。また対外的に理解されやすい組織を構築し、保育士の専門性を高めるために、キャリアパス制度の導入も積極的に行うべきでしょう。

ICTの活用で事務作業を軽減

保育施設の事務作業は現在も手書きが中心です。確かに連絡帳や園だよりから伝わる文字の温かさは大切にしたいところですが、5分おきの午睡チェックのように、時代とともに保育士の業務は増加傾向にあります。人手不足の現状では、保育士の負担が大きすぎるのではないでしょうか。

登降園時刻の管理や保育料の計算、指導案の作成といった作業は、保育現場の業務支援を目的として開発されたICTシステムを導入すれば、スタッフ一人ひとりの負担軽減が図れます。スマホアプリを利用した連絡帳は、園児の様子を写真や動画で見られると保護者にも好評です。テクノロジーを上手に使えば、子どもに関わる全ての人が笑顔になれると思います。

まとめ

子育て世帯にとって、保育の無償化は喜ばしいことでしょう。しかしこの施策によって待機児童問題が悪化したり、保育の質が担保されていない施設による事故や事件が増えてしまっては本末転倒です。

大切な子どもの命と未来を預かる専門機関として、保育施設の重要性は高まっています。保育ICTに代表される最新テクノロジーを活用するなど、保育施設にもイノベーションが必要な時期に差し掛かっているのかもしれません。

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