【対談】てぃ先生×元気キッズ④ これからの保育の課題

幼稚園や保育園は、なかなか大人の指示通りに動いてくれない年代が集まる場所です。手を洗うように言ったら水遊びを始めてしまったり、優しく「やめなさい」と言っても従ってくれなかったり、コントロールするのは大変です。

離職率1%の保育園「元気キッズ」では、子どもとの関わり方にもさまざまな工夫をされているそうです。グループ内で児童発達支援事業所も開設している中村代表に、これからの保育についてお聞かせいただきました。

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保育する上で大切なこと

吹野:実は保育方針についてお伺いしたいことがあるんです。元気キッズの6つの保育方針の中に「伝える力」という項目がありますよね。そこに「おこらない・しからない『伝える力』」とあるんですが、これはどういう意味ですか?

中村代表:怒ることって大人の都合で言えばいいので、超簡単だと思うんです。でも僕は、子どもたちが我慢せずに待てる環境設定、行動できる環境設定、つまり構造化が大事だと思っていて。例えば、先生たちが次の工作の準備をしている間、ただ待っているだけの時間って子どもには苦痛じゃないですか。

てぃ先生:そうですね。先生にとってはどう待たせるかも課題だと思います。

中村代表:例えば誰かが一緒に手遊びをして待つとか、自然に待てる環境を作ってあげることが大事だと思うんですよね。あと、子どもたちって好奇心が旺盛すぎるから、どうしても大人がやってほしくないことをやっちゃう。壁に絵を描いちゃいました、ご飯投げちゃいました、なんてことは良くありますよね。

吹野:そういう時の子どもたちに限って、すごく生き生きしてるんですよね。

中村代表:そのときに「ダメだろ!!」って大声で怒ればやめるかもしれないけど、きっと子どもは泣いちゃうし、好奇心の芽を潰してしまうかもしれない。だから「怒る」「叱る」「罰を与える」なんて行為は全然いらないんだ。でも野放しもできないから、本当にダメなことをやった時は止めてあげて、やっちゃいけない理由をお話してあげればいいんだよ。そうやって伝えていけば、そのうちできるようになるんだよっていう話を先生たちにしているんですよね。

てぃ先生:子どもにダメな理由を伝えることは大切ですね。

子どもたちの良い行動を増やす取り組み

中村代表:あと、もうひとつ忘れていました。特に0歳1歳の子たちの発達の特徴はものまね力と好奇心・探求心で、ものまねをさせることがとっても大事だと思ってるんです。だから靴を脱ぐときは「こうやってやるんだよ」って見せてからやらせる。視覚情報でわかるようにしてあげれば子どもたちは迷わないし、自分でできるようになりますよって話をしています。

吹野:見せて、真似をさせて、覚える……すごく自然で無理がないですね。

中村代表:だから構造化が大事なんです。我慢させない仕組みづくりとか、見せてから伝えていくこと。それが好奇心を引き出すことになるから、怒ったり叱ったりして潰すんじゃなくて、寄り添って伝えていきましょうねっていうのが、その指針の意図です。

てぃ先生:子どもに気になる行動が出たときに、大人って否応なしにやめさせる方向で考えがちなんですけど、子どものやることって何かしら理由があったり、もしくはそれが不適切な行動だってわからなくてやっていたりということが多いですよね。その姿はその姿として認めておいて、どうやったらいい姿、いい行動が増やせるかなって考えると、けっこう保育って気楽になるんじゃないかなあって僕は思います。

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これからの保育に求められること

中村代表:僕は児発(児童発達支援事業所)もやるようになって、療育と保育って根本的に違うんだなってすごく感じています。保育は対処療法的というか、その子の行動に合わせて対処します。でも療育の場合は行動応用分析をしながら、望ましい行動をするような手立てを考えていくんです。

吹野:それはどういうことですか?

中村代表:例えば座れない子がいた時に、「座るっていう意味が分からないのかな」とか、「座る体勢が嫌いなのかな」とか理由を見つけてあげて、「じゃあこうしたらできるようになるのかな」っていう風に手だてを見つけていくのが療育なんです。保育とはちょっとアプローチが違うんですよね。

てぃ先生:僕もいろんな先生を見てきましたけど、そういうアプローチができる先生は怒鳴らないんですよ。理由がわかるから。この子はこう思ってるからこうするのかなって。それを気付くことができないと、やっぱり叱るしかないっていうか。

中村代表:そうですね。僕は今までセンスで片づけていたけど、そうなんだと思います。児発のほうは、レポートを作って1週間単位でアセスメント会議をやって、その子の強みを探す作業をやっています。それが療育なんです。これを保育に入れられたら完璧だなと思うんですけど、現状ではそこまでやれるだけの時間がない。

てぃ先生:時間も気持ちも、ですよね。

“気づき”を大切にするために

中村代表:そう、気持ちも。保育園の、毎日がぶわーって流れちゃう中では大変なんだけど、先生たちには「落ち着いて観察をして、何を考えているのかっていうのを見なきゃいけないよね」って言っています。やっぱりベテランですごく信頼できる先生は自然とできている。でも若い子たちには理解しづらい部分なので、それをどうやって伝えていけばいいのかって……そこは僕らも悩んでいます。

てぃ先生:気づきとか洞察力を教えるのって難しいですよね。でも新しい指針とか、業界がこれからやろうとしていることって、その非認知能力の部分じゃないですか。大人がまだできるようになってないのに、子どもに教えろっていう段階に来ちゃっているんで、それどうやって教えるんだろうって(笑)。

吹野:難しいですね。

てぃ先生じゃあユーモアって子どもたちにどうやって教えるの?って話になったら超難しいです。結局、人の反応を見ながら「ここでこう言ったらどうだろう?」って考える力が必要になってきますよね。だから最終的には「気づき」と「表現」の2つに焦点が絞られてくるのかな、とは思ってるんですけど。

中村代表:それは共感力になるのかな。でも保育に任されるのは苦しいですよね。家庭との連携も必要になるし。そういう意味では、ペアレントトレーニングがすごく大事だなと感じますね。ペアトレをどう導入するか、ペアトレに行く前の全国のお母さんたちお父さんたちの考えをどう変えるかっていうところが、これからの課題なのかなって思っています。

まとめ

4回にわたって、元気キッズの中村代表を交えた対談の模様をお届けしてきました。今回は「大人が適切な方法で伝えれば、怒ったり罰を与えなくても、子どもを理想的な方向に導くことができる」というお話が中心でした。

これは一見、難しいことのように思えます。でも、きちんと子どもと向き合えれば、案外簡単なことなのかもしれません。相手のことをどれだけ思いやることができるのか?それは大人の社会においても同じで、心に余裕があるかどうかがポイントではないかと思います。

「忙しい」という字は、りっしんべんの「こころ」を「亡くす」と書きます。多忙な毎日に追われて、心を失わないように気をつけたいものですね。

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