医療と保育と福祉の養成課程を共通化?厚労省の狙いと施設側での対応は?

医療と保育と福祉の養成課程 の一部がを共通化?

みなさんこんにちは。ICTキッズ編集部です。2016年5月、厚生労働省の「保育士養成課程等検討会」において、福祉系国家資格と保育士資格の養成過程の共通化を検討していることが発表されました。遅ればせながら、この発表にからめて抑えておきたいポイントをまとめてみます。

「保育士養成課程等検討会」とは?

厚生労働省の「保育士養成課程等検討会」は、保育士の人員確保が急がれる受入児童数の拡大や保育士の雇用機会・賃金水準の適正化などの課題解決を目的に、2015年に組織されました。2016年11月には、これらの課題に対応するためのワーキンググループ(省内外で上記の検討を横断的に行うプロジェクトチーム)を設置しています。保育士または看護師、介護福祉士が、それぞれ現在より短期間で別の資格を得られるようにすることで人材の流出を防ぎ、労働力を確保するのが目的のようです。

解決するべき課題は山積しているが、希望が無いわけではない

この「育成課程共通化」の背景には、団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年問題および過疎地での介護人員不足があります。“低賃金”と“なり手不足”の問題は深刻で、特に介護福祉士については人材の確保が急務になっています。

また保育士については、政府が掲げる「ニッポン一億層活躍プラン」において、技能・経験を積んだ女性保育士と他職種の賃金格差解消のための仕組みづくりが求められている等の事情もあります。介護福祉士、看護師、保育士を統合し、2つまたはそれ以上の分野で活躍ができる人材の創出と、仕事の掛け持ちを行える施設の運営体制の構築は、これらの問題を解決できる有効な方策のひとつと言えます。この「資格の共通化」への第一歩となるのが、今回の「育成課程の共通化」という訳です。

福祉先進国フィンランドに学ぶ日本

育成課程共通化のモデルは、フィンランドの保険医療の共通資格制度「ラヒホイタヤ(Lähihoitaj)」です。「ラヒホイタヤ」とはフィンランド語で「日常的なケア」に相当する用語で、准看護師や保育士、ホームヘルパーなどの保険・医療・福祉に関わる10の資格を一本化した資格制度になっています。

ただし、日本では国家資格にあたる介護福祉士や保育士などの資格を共通化するには専門知識や技術の面で違いが大きいため、育成課程を共通化して、一部の基礎的なカリキュラムを統一することを目指しているようです。現在行われている幼稚園教諭資格保有者が保育士資格を取得する際に一部の科目が免除される仕組みに近いと言えます。

どんな資格が対象になる?

今回のワーキンググループでは保育士や看護師、介護福祉士が検討の主な対象ですが、今後の議論によっては社会福祉士、精神保健福祉士、准看護師、理学療法士、作業療法士なども対象になることが考えられます。

現在、看護師の資格取得には専門学校や短大で3年(4年制大学ならば4年)、介護福祉士の養成施設では2年などの期間が必要です。業務を行うために共通の知識が必要な部分があっても、異なる職種間で人員の流動性を確保することが、現状においては難しくなっています。

まとめ

保育園と高齢者施設が併設された「高齢者併設保育施設」や、クリニック併設型の介護施設も増えている印象があります。運営の効率化においてメリットがある一方、施設としては完全に分離されています。今後こういった施設では、資格を複数保有するスタッフの獲得・育成のための仕組みづくりや、給与水準の確保のために、一層の経営努力が必要であることは変わりありません。

本サイトでご紹介しているICTシステムの導入で、保育業務の効率化を検討してみるのも良いでしょう。また国に対しては、賃金水準確保のための補助金のような場当たり的な対応だけでなく、資格取得のための支援も併せて実施していただきたいところです。

参考URL(画像引用元):
厚生労働省ホームページ[保育士養成課程等検討会](外部サイト)

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