「キャリアパス制度」の導入で保育士の処遇改善は可能なのか?

こんにちは、ICTキッズ編集部です。皆さんは、国が推進する待機児童解消施策の中に「キャリアパス制度」というのがあるのをご存知でしょうか。この制度を活用すれば、保育士の専門性を高めるとともに給与水準も引き上げられます。今回はキャリアパス制度についてまとめてみたいと思います。

キャリアパス制度とは?

平成28年6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」の中で、保育士の処遇改善についての方針も示されました。中でも注目したいのは「キャリアアップの仕組みを構築し、保育士としての技能・経験を積んだ職員について、現在4万円程度ある全産業の女性労働者との賃金差がなくなるよう、追加的な処遇改善を行う」ことです。

商社であれば営業部、人事部などの事業部ごとに部長・課長・係長といったポストがあり、3年後、5年後…と目標とすべきポジションが設定しやすい組織構造になっています。しかし保育士の役職は、主任保育士と園長しかない場合がほとんどです。ほかの業種に比べると、希望のポジションにつけるチャンスが極めて少ないと言えます。

この点を改善するため、役職を増やすことで昇進の機会を増やしつつ、保育士としての専門性を高めていくことがキャリアパス制度の目的です。この制度を確立するため、厚生労働省は有識者等で構成する「調査研究協力者会議」を開催しています。

調査研究協力者会議が取りまとめたこと

「調査研究協力者会議」では、保育士のキャリアパスを構築するための研修体系や研修実施体制について4回にわたって検討を重ね、平成28年12月、「保育士のキャリアパスに係る研修体系等の構築について」を発表しています。

この中では「保育士にはより高度な専門性が求められるようになった」ことが指摘されています。また、保育士に対する社会的ニーズに応えるためには、各種研修の機会を充実させ、その専門性を向上させていくことが重要であることが確認されました。

保育士の待遇を改善するキャリアパス

この検討結果を受けて設けられたのが、民間の認定保育園や子ども園を対象とした「キャリアパス制度」です。これは一定の勤続年数があり、都道府県等が実施する研修を受講しているなどの条件を満たした人が、園内に新設する役職に就いた場合に最大4万円が月給に上乗せされるという制度です。

保育士の待遇改善を目的に、国は段階的に給与のベースアップを行っています。平成29年度は、平成24年度の賃金に対して8%の上乗せが実施されています。これに加えて、キャリアパス制度を導入した保育施設に対しては2%の賃金が加算されます。そして一定の条件を満たして役職に就いた保育士には手当が追加され、結果的に他業種との待遇格差の問題が解決できるというわけです。

キャリアアップ研修ガイドラインの概要

厚生労働省「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について」より

平成29年2月に厚生労働省が発表した「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について」の中では、保育園の組織階級のイメージが提示されています。園長と主任保育士の下に新たに3つの役職を設けることで、階級に応じて月給が上乗せされる仕組みです。

保育士のための研修カリキュラム

都道府県などが行う研修は8つの分野に分かれています。例えば認可保育園の若手リーダー職につくためには、勤続3年程度のキャリアがあり、担当する職務分野(下記①~⑥のいずれか)の研修を修了していることが条件です。

①乳児保育(主に0歳から3歳未満児向けの保育内容)
②幼児教育(主に3歳以上児向けの保育内容)
③障害児保育
④食育・アレルギー
⑤保健衛生・安全対策
⑥保護者支援・子育て支援
⑦保育実践
⑧マネジメント

出典:厚生労働省【報告書】調査研究協力者会議における議論の最終取りまとめ~保育士のキャリアパスに係る研修体系等の構築について~

それぞれ15時間以上(2~3日程度)のカリキュラムが組まれているため、受講するのは大変だと思います。しかし、それぞれの分野を専門的に学ぶことで修了証も交付され、従来よりも保持するスキルが明確になります。また技量のある保育士が役職につけるようになることで、仕事の幅が広がるとともに賃金が上がります。その結果、職員のモチベーション向上なども期待されます。

<参考>
厚生労働省:保育士のキャリアパスに係る研修体系等の構築に関する調査研究事業
資料:保育士等の処遇改善案

まとめ

以前の記事「保育士の本音にせまる!保育士が抱えるさまざまな問題」でも取り上げたように、保育士の不満には「保育士の仕事の大変さ、子どもを預かることの責任の重さを回りの人に理解してもらえない」ことがあります。今回、キャリアパス制度ができたことで研修内容が充実し、役職にもつきやすくなれば、保育士の社会的な認知のされ方も変化するのではないでしょうか。

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