保育士が働きやすい職場を作るためにはどうしたらいい?

保育の業界に限らず、運送業や飲食業などでも人手不足が深刻な問題となっています。多額の費用をかけて求人広告を出しても応募者が少なかったり、やっとの思いで採用しても、すぐに辞めてしまうケースは少なくありません。今回は人材を確保し、長く働いてもらうために必要な職場環境について考えてみます。

保育士を長く続けられないのは何故?

2017年4月に大手調査会社マクロミルが保育士の有資格者に対して行った「保育士・保育園に関する調査」では、現役保育士の8割が“保育園で働き続けたい”と回答しています。一方で、退職した保育士のうち“また保育園で働きたい”のは半数以下の42%に留まっています。

保育園をやめた理由の1位は「給与」で、「労働時間や責任の重さが給与に見合っていない」「安すぎる」といった声が多くありました。2位は結婚・出産、3位は労働時間、4位が人間関係…と続きます。

またレポートの中にある「保育士をやっていて残念だと思ったこと・つらかったエピソード」の回答には、長く続けることが困難な理由を具体的に見ることができます。内容を確認したところ、保育士を続けられない理由を大きく3つに分類することができました。

理由①:仕事量の多さに見合わない月給の安さ

・行事の前は残業や持ち帰りの仕事が多いが手当は全くつかない。保育士の配置基準がギリギリのため、子どもに十分な関わりをもってあげられない。気持ちに余裕が持てない。肉体的にも精神的にも大変だがお給料が安い。(40代女性・保育士)

 

・「子どもだけではなく地域や保護者のケアもするべき」など次々に責任ばかり投げられる(30代女性・元保育士)

 

・事務仕事、園内の清掃、行事準備の作り物など、仕事量が多いので、休憩時間も休む暇もない(40代女性・元保育士)

幼い子供は高いところに登ろうとしたり、床に落ちているものを口に入れようとしたりするので、家庭では片時も目を離すことができません。保育士の場合は1度に複数の子どもたちを見ます。しかも面倒を見るのは自分の子どもではありません。大切なお子さんをお預かりしているからこそ、常に気を緩めるわけにはいきません。

また園児一人ひとりの記録をつけたり、園だよりを作成したり、子どもの成長に合わせた指導計画を立てたりしなければなりません。行事があるときに、部屋の飾り付けをしたり音楽の用意をするのも保育士です。いくら頑張っても仕事は終わらず、熱心な先生ほど家に持ち帰って足りない時間を補っています。

精神的・肉体的負担が多いのにほかの業種よりも給料が安く、将来が不安になるような環境では、仕事を続けられないと考える保育士が多いのも無理はないと思います。

理由②:難しい人間関係

・園長や主任に頑張りが伝わらない時や、若いからと言って現場の意見を聞き入れてもらえなかった(20代女性・保育士)

 

・有給休暇が使いにくい。(20代女性・保育士)

 

・女性の職場なので居場所がない。男性が少なすぎる。いびりがきつい(30代男性・元保育士)

 

・ベテラン保育士はこれくらいもできないのか、というように、若い保育士を空気感でいやがらせしている。(40代女性・保育士)

 

・結婚と同時に妊娠がわかり、園長に報告すると、なんで避妊しなかったのかと文句を言われたことがある(40代女性・元保育士)

職場の雰囲気や人間関係は、どの業種でも悩みのつきない問題です。特に保育士の場合は、派閥ができてしまったり上下関係が厳しかったりして、上手くいかないケースも多いようです。たいていの場合は1クラスを複数の保育士が受け持ちます。でも、お互いの信頼関係が築けなければ、保育にも支障が出てしまいますよね。

若くて経験が乏しい保育士は失敗も多く、保護者から厳しい言葉をぶつけられて自信が持てなくなることもあるでしょう。そんな時にこそ、スタッフ同士でしっかり支え合える人間関係が必要です。しかし保育の現場では、保育士同士の関係が思わしくないために辞めてしまう人が後を絶ちません。

理由③:保育士の実情と世間イメージのギャップ

・子どもの為を思ってやっていることが保護者に伝わらず、心ない言葉を言われた。(20代女性・保育士)

 

・保育士の仕事が、こどもと遊んでいるだけだと思われている(20代女性・保育士)

 

・保育士の仕事の大変さ、子どもを預かることの責任の重さを回りの人に理解してもらえない(20代女性・元保育士)

保育士という仕事が単純に子どもと遊んでいるだけで済むはずもないことは、少し想像すれば誰にでもわかりそうな話です。しかし傍目からはその大変さがなかなかわからないために、心ない言葉をかけられて傷ついている保育士が多いことがうかがえます。そんな時に、一番近いところで保育士を見守る主任や園長が優しく声をかけてくれたり、相談に乗ってもらえる環境があれば、きっと心強いことでしょう。園のスタッフ全員が気持ちよく過ごせる職場環境を構築するためには、管理職の手厚いフォローが必要不可欠だと思います。

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【参考】一般の人が考える理想の職場環境

ところで、業種業態を問わず人々がイメージする「理想の職場」とはどんな職場なのでしょうか。2014年5月に日本法規情報株式会社が行った職場環境に関する意識調査では、興味深い結果が得られています。(有効回答数:1263人/男性:494人 女性:769人、アンケート期間:2014-03-31~2014-04-20)

職場に求められているのは人間関係の良さ

PR TIMES:日本法規情報 法律問題意識調査レポート 「理想の職場意識調査」より

「あなたにとって理想の職場とは?」というアンケートに対し、一番回答が多かったのが「人間関係が良い」の18.3%、続いて2位は「良い同僚・上司に会える」が16.1%、3位が「賃金が高い」の12.8%でした。1位と2位はいずれも人間関係に関わることです。全体の3分の1は職場の善し悪しは人間関係によるところが大きいと考えていると言えるでしょう。

また4位の「やりがいのある仕事ができる」は3位と僅差の12.5%である点も興味深いところです。賃金の高さと同じくらいの割合で、仕事から充実感を得られれば理想の職場と考える人がいることがわかります。

魅力的な職場にするには?

保育士資格は国家資格です。取得するためには厚生労働大臣が指定する保育士の養成施設で学び、所定の単位を取得するか、年に2回実施される保育士試験に合格しなければなりません。工作やピアノ、体操などの知識や技術も必要で、求められるスキルも幅広く、資格取得には時間も労力もお金もかかります。

せっかく取得した資格を無駄にさせないためにも、保育士という職業のすばらしさをアピールし、一緒に理想の保育を実現できる人材を仲間に加えたいものですよね。では保育士が長く働ける保育園にするには、どうしたらいいのでしょうか。

風通しを良くする

どんな職場でも言えることですが、上司の顔色をうかがって言いたいことも言えないような雰囲気では、職員が委縮してしまいます。また職員の間で、不必要に情報の格差が生じるような環境も好ましくありません。職場いじめの原因にもなりかねないからです。

全ての職員にとって働きやすい環境を作ることは、園の経営責任者が担うべき役割だと思います。保育士にも個性があり、一人ひとりに得意なことや不得意なことがあります。それぞれの長所を認め、誰かの足りない部分は別の人が補うような相互協力の意識を育てていくことが大切です。

また、問題が起こったら些細なことでも誰かに相談する文化があれば、ちょっとした異変やトラブルにも素早く気付くことができ、大きな問題に発展するのを防ぐことにつながります。風通しの良い職場づくりは、リスクマネジメントの面でも有効です。

新しい考え方や技術に対する柔軟性を持つ

保育士には保護者との連絡帳のやり取りや、指導案の作成など、子どもたちの面倒を見る以外にもさまざまな事務仕事があり、負担が大きくなっています。例えパソコンをを使っていても、同じデータをいろいろなソフトに転記する必要があるようでは負担の軽減にはなりません。

保育専用のICTシステムを活用すれば、1つの動作で3つ4つの作業が完了するような仕組みを簡単に導入できます。過去のデータを1つのシステムで管理することで、スピーディな検索も可能になります。

1980年代以降に生まれ育ったデジタル・ネイティブ世代は、比較的ITに慣れるのが早いです。機械が苦手な職員が多いなら、若い職員に先に使い方を学んでもらって、使い方を教えてもらうのも1つの方法ではないでしょうか。各々の得意分野についてお互いに教え合うことで、園の結束力を強めることもできると思います。

人材を育てる環境を整える

保育士としてのスキルを磨くには、園内での勉強会なども有効です。また、保護者やほかの園との交流の場を設けることで、新しい発見が得られるかもしれません。セミナーや研修に参加することも有効だと思います。

いずれにしても、狭い世界に閉じこもっていては視野も狭くなり、柔軟な発想ができなくなってしまいます。積極的に外に出て、さまざまなことを吸収し、そこで得た情報や体験を職員同士が共有することができれば、各々の成長も見込めるようになることでしょう。

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まとめ

他人に寛容になれない人は、自己肯定感が弱いことが多いようです。また自分に自信が持てない人は、自分を認めさせたくて自慢話ばかりしたり、物事が自分の思うようにいかないとすぐに怒り出したりしてしまう傾向にあります。

誰にでも周りの人に認められたいという欲求はあります。若いからダメ、キャリアが長いから偉い…と杓子定規な考え方が蔓延している職場では、どんな仕事でも長く続けるのは困難になることでしょう。

特に保育士は子どものお手本となるべき存在です。みんなが気持ちよく生活できる園を目指して、まずはお互いを認め合うことから始めてみませんか?

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