フィンランドの保育について勉強してみました!~その②~

こんにちは!ICTキッズ編集部の吹野です。今回は先日の記事“フィンランドの保育について勉強してみました!”の第二弾!実際に行われているフィンランドの保育の特色から、日本の保育との違い、子どもがいきいきするとはどのような状態のことなのかを考察していきたいと思います。

フィンランドの保育の特徴

<特徴①>保育者の落ち着き・子どもの静けさ

この国では、古くから学校の先生のことを『国民のロウソク』と尊敬の意を込めて呼ぶそうです。暗闇の中に明かりを照らす人、人々を導く存在として、この国ではあこがれの職業であるといいます。正しい知識やモラルをもって、子どもたちと向かい合っていくという保育の基本姿勢が、この国のなかでいかに大きな意味をもつかということが、この言葉からも伺い知れます。いずれの保育園にも共通して見られたものは、保育者の落ち着いたふるまいと子どもたちの静けさです。

<特徴②>保育室に見られる生活デザイン

フィンランドの特徴は、保育環境にも見られます。光と音をコントロールする配慮がなされたデザインやホールから階段をのぼるとおままごと道具のある屋根裏スペースがあったり、絵本ルームにはおとなサイズのソファーがあったりと子どもたちがウキウキするような保育環境が整えられています。光をコントロールすることや保育室の音に気を配るということに配慮が見られます。北欧では、保育室の「音」についての学術研究がさかんに行われているそうです。日本の保育室の「音環境」は、1日を通してかなり高いデシベルで針が振れ続けているのが特徴だと思います。大音量に慣れすぎてメリハリのない音環境が数多く見られるということです。

光と音をコントロールするということの意義は、子どもたちへの刺激をコントロールするということだそうです。1日の生活の中でこれらに配慮することは、たとえば、活動のスペースでは手元をスポットで照らし出すことによって集中力を引き出し、休息のスペースでは高窓によって光量を加減するというような工夫です。情報が溢れる社会において、保育の中で何を際立たせ、何を伝えていきたいのか。わかりやすさが子どもたちに「安心感」を与え、次のステップを見通す力を育んでいきます。

<特徴③>フィンランドの保育を支える保育者

フィンランドの子どもたちは遊びの中で、「時間」「空間」「人間」を自分自身で主体的にコントロールしているようです。保育園の生活を見る限り、子どもたちは自由であり、遊びのリズムもスペースも、友達や保育者とのかかわりも自分自身で選択するのです。ここでの「自由」は、なんでもありというものではなく、ひとたびトラブルが起これば保育者が登場し、「意見+理由」が求められます。子どもたちがどんな意見を言うのも自由ですが、必ず理由が求められます。

就学前の段階から、自分の意思を表明することをたいせつにして、年齢に応じて理由づけをトレーニングしていくフィンランドの保育。ここでの保育者の役割は1日の流れをつくるだけでなく、「いま・ここ」という瞬間に「どうしてそう思ったの?」「どうしてそう感じたの?」と投げかけ、子どもたちの主体的な気づきを促していく教育的な配慮が中心となっていました。

 ☆高度な専門職としての保育教師

フィンランドで保育教師になるためには、現在ヨーロッパ全土で進められている「ボローニャ・プロセス」という教育の改革プログラムにもとづく新制度で、180単位相当の教育学士課程を修了する必要があります。フィンランドの教育課程で保育教師には、学習活動に精通した専門家としての高度な知識と実践力のほか、社会的・倫理的な立場から、専門以外の分野でも社会発展に貢献する技量が求められます。フィンランドの保育は、主体的な気づきを促していく保育者の教育的視座によって支えられています。具体的に見通しをもって取り組むことができる保育環境。時間をかければきっとできるという安心感と繰り返しが、子どもたちの落ち着きと集中力を引き出しています。

<特徴④>安心と平等を土壌とする保育

時間には「満ちていく時間」と「欠けていく時間」という概念があるといいます。同じ時間を過ごすにも、限られた時間を刻んでいくのか、必要な時間を積み上げていくのかによって、心持ちが違ってくることでしょう。フィンランドの保育では「まだ何分ある」というメッセージを発信しています。保育の目的が同じであるなら、限られたタイトな時間のなかにも「まだ何分ある」という時間を積み上げていくことはできるのではないでしょうか。

今なぜフィンランドなのか。世界的に注目されているフィンランドの優れた教育システムを支えているのは、点数や偏差値を上げるための方法論ではなく、この国の人々が大切にしてきた「安心」「平等」という二つの概念によるものと感じました。正しい知識やモラルを持って、子どもたちと向かい合っていくという保育の基本姿勢が子どもたちをいきいきした状態へと導いていくのではないでしょうか。

子どもたちがいきいきと過ごせるように、保育士さんはその場に合わせた環境作りに励んでいますが、そもそも、いきいきしているとはどのような状態なのでしょうか。フィンランドの保育を通し、自分なりに考えてみました。

いきいきしているってなんだろう?

子どもが生き生きしているとは、泣くのも笑うのも、ケガもケンカもみんな子どもの仕事であり、子どもが身近なものから学び、自分の力でその考えを広げること、また自分で選択し、自己決定できる状態のことであると思います。また、対人関係において自分とほかのひとのユニークさを認め合い、互いの意見に耳を傾け合うことで自分のやりたいことも他人のやりたいことも尊重し合える調和のとれた状態であると思います。
このように、子どもが生き生きと毎日を過ごすことができるよう、私たち保育者(大人)は何に配慮していけばいいのか。それは、ほかの子と比べたり競争させたりせず、それぞれの子の発達に応じてそれに見合った指導をすること、また子どもの声に耳を傾け、自発的な発達の意欲を見守ることであると思います。子どもの身近にちょっと努力すればなれるようなモデルを用意することも子どもの意欲を駆り立てられると思います。そして、大人が子どもたちのために手助けできることは何かを考え、環境を用意していくことが大切なのではないでしょうか。

まとめ

フィンランドの保育の特色を見てきましたが、日本と比べ保育士の社会的地位が高く、高度な専門職として認められていることを知りました。また、子どもの状態に合わせ保育室の光と音をデザインするなど、専門職としてのプロ意識が見受けられ、私自身、幼稚園教諭経験者として刺激を受けました。
子どもがいきいきしていること、「自分で選択し、自己決定ができる状態にあること」が、保育者にとって一番の喜びであり、原動力なのではないでしょうか。

そして、次回は”フィンランドの保育について勉強してみました”の第三段!
第一弾・第二弾の内容を踏まえ、子どもにとって魅力的な保育とはなにかを考察していきましょう!

◆参考文献
・世界の幼児教育・保育改革と学力(著者 泉千勢・一見真理子・汐見稔幸/発行所 株式会社 明石書店)
・フィンランドの子育てと保育(著者 藤井ニエメラみどり・高橋/発行所 株式会社 明石書店)
・世界の保育と遊び(著者 国際幼児教育学会/発行所 丸善メイツ株式会社)
・子どもの育ちと遊び(著者 川村晴子・中村利恵・増原喜代・内山明子/発行所 朱)
・月刊 クーヨン しあわせになる教育/2009年4月1日発行/発行所 クレヨンハウス

フィンランドの保育について勉強してみました!~その①~ フィンランドの保育について勉強してみました!~完結編~