子ども達と一緒に合唱曲を聴いてみませんか?

音楽が子どもの成長に良い影響を与えることは、さまざまな研究によって明らかになっています。特に小学校に上がる前までの時期に音楽に触れさせることは、言語やコミュニケーション能力、ひいては社会性を育む効果があるとも言われています。

皆さんも子ども達と一緒に歌を聴いたり、歌ったりする時間を設けていると思いますが、いつも同じような音楽ばかりでは飽きてしまいませんか?だからと言って、難解なクラシック音楽はちょっと敷居が高いですよね。そこで今回はハーモニーが充実しており、個性的で、なおかつ小さな子どもにも関心を持って聴いてもらえそうな合唱曲をご紹介します。

少年少女のための合唱風土記組曲『城下町の子ども』より
「五百羅漢さん」

作詞:こわせたまみ 作曲:岩河三郎

「羅漢」はお釈迦様の弟子で、修行して煩悩を拭い去り聖者となった者のことを言います。五百羅漢さんは歌詞にある通り「石のお坊様」で、生身の人間をかたどった像です。五百羅漢さんが登場した江戸時代には、お参りの人びとが亡き人の面影によく似た「らかんさん」を見つけだし、懐かしい人を偲ぶことができる場所となりました。写真のない時代にはこういった場所が人々を慰めていたのです。

この「五百羅漢さん」は、物心つかない頃に父親を亡くした男の子が、五百羅漢寺を訪れた場面を歌っています。中間部にはもの悲しい部分もありますが、全体的には日曜日のお出掛けの様子を明るく表しています。

組曲『佐渡の四季』より「海と星とお地蔵さんと~夏~」

作詞:中村千栄子 作曲:岩河三郎

「シャバシャバ~イキイキ~」という個性的な歌詞で始まるこの曲は、組曲『佐渡の四季』で歌われる佐渡の夏の景色です。佐渡島といえば古くは流刑の島とされ、江戸時代は金山苦役などもあったことも曲の中で示唆されていますが、全体的には佐渡の美しい自然とそこに暮らす人々の姿を元気よく表現しています。

合唱組曲『駿河のうた』より「みかんの花はかおり」

作詞:宮沢章二 作曲:湯山昭

静岡の風景を切り取った合唱組曲『駿河のうた』は、全体的に広がりのある伴奏と和声の壮大さが印象的です。その中にあってこの「みかんの花はかおり」は、初夏のさわやかな風を思わせる美しい響きが、非常に優雅な楽曲です。

みかんの花を原料とした「ネロリ」という精油には、心を落ち着かせ安心感をもたらす効果があり、アロマテラピーで良く利用されています。偶然にもこの曲には同じような効果があるように感じるので、テンションが上がってしまった子どもたちの鎮静化にも役立つのではないでしょうか。

混声合唱組曲『富山に伝わる三つの民謡』より「越中おわら」

作詞・作曲:岩河三郎

民謡を題材にした「富山に伝わる三つの民謡」は「越中おわら」「こきりこ」「むぎや」の3曲からなる組曲です。富山県の八尾(やつお)町には9月1日~3日を「風の盆」と言って、三日三晩歌って踊りつづける風習があります。「越中おわら」はこの「風の盆」で歌われる「越中おわら節」を題材にした曲です。重量感のある強拍と弾むような弱拍による対比に満ちたリズムや、民謡の持つ独特の雰囲気を味わうことができるので、子ども達にも受け入れられやすいと思います。

混声合唱組曲『伊勢志摩』より「お伊勢まいり」

作詞:峯陽 作曲:小林秀雄

混声合唱組曲『伊勢志摩』は、数多くの合唱曲を作曲している小林秀雄の作品の1つ。「伊勢よ志摩よ」「お伊勢まいり」「ハマユウの子もりうた」「愛するもののために」の4曲からなり、「お伊勢まいり」は合唱曲には珍しく一貫して疾走感を感じさせます。

ピアノ伴奏には不協和音が効果的に使われていて、ジャズの要素もありつつ民謡の味わいがしっかり感じられます。大人も子どもも一緒に楽しめる1曲です。

まとめ

今回ご紹介した合唱曲は、かつて合唱コンクールなどで好んで取り上げられていた楽曲で少々古いものです。しかし海外の合唱曲と異なり、日本の文化や美しい自然が題材で親しみやすく、当時歌っていた生徒達にも人気があったものばかりです。

「ちょっと難しいのでは?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、子どもだからといって、合唱曲の良さを理解できないなんてことはないと思います。そもそもこれらの音楽を姿勢を正して、黙って聴く必要はないのです。むしろ遊びの時間のBGMなどに取り入れて、美しい音楽に囲まれて生活するほうが心を豊かに育てるのではないでしょうか。また少し大人びた音楽は、今まで気づくことができなかった子ども達の新しい顔を見せてくれるかもしれません。

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